水の鏡

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そこでメグは、握っていたスマホを操作して電話をかけ始める。 ディスプレイには、アキミの名前が書かれていた。 もう深夜1時を過ぎているのに、アキミはいつも通り電話に出てくれる。 『こんな時間にどうしたの……』 「お願いアキミ!!助けて!!」 アキミの言葉を遮るように、メグは小さく叫ぶ。 事の経緯を全て話すと、アキミは電話越しでかなり怒っているのがわかった。 だけど怒ってる場合じゃないという事はアキミにはすぐわかってくれたようで、とある話を始める。 『開いた水鏡は、朝になる前に閉じなきゃいけないの』 「朝になるまで……」 息を整えながら聞いていたが、突然押し入れの扉を叩く音に口を押え押し黙った。 電話越しに聞こえたのか、アキミも少し小さい声になって話を続ける。 『忌世界から出てくる化け物は、アタシたちの世界で未練を強く残した人たちばかりらしいんだ。その未練を、後悔したことを果たすため水鏡を通って人間の身体を乗っ取るって聞いた。メグも身体、狙われてるんだよ……!!』 アキミの言葉に、最初は耳を疑った。 だけど扉の向こうでは、化け物が叫びながら叩いてきている。 「カラダヲ、ヨコセェェェェェ!!」 その化け物の言葉は、アキミの言葉を信用するのに充分だった。
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