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そのとき、脇を車が通り過ぎバシャンと水飛沫をかけられた。
俺は、水飛沫とともに水溜りの中へ溶け込んでいった。
ドクン、ドクン、ドクン。
水のように澄んだ心臓が俺の胸の中で鼓動していた。
俺は水の民。
きっと、胸の痛みは水のもとへ戻れと言う警告だったのかもしれない。
人の世に未練はない。
そのはずだった。けど、ときどき水溜りが出来るとそこから人の世を覗きに行ってしまう。
誰かが俺をみつけてくれたら嬉しい。
目が合ってしまったら、きっと人は驚くだろうけど。
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