ついてない男

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「え?嘘!」 もちろん壊れた訳ではない。フリーズという演出だ。大当りは確定。しかもこのおよそ一万分の1の確率で発生する演出は、この後の大勝ちを示唆している。次の当選の内部確率が大幅に上がるのだ。 まさに"お座り一発" できすぎだ。 無論 初めての事ではない。 派手な効果音が周りの視線を集める。さっきの婆さんも見ている。一旦きえた画面が復活し、ストーリーがダイジェストで進む。 運の悪いヤツはもう一歩が粘れない。だから、負けたヤツの後に座る。のは定石なのだ。 婆さんの方を見ると、常連仲間だろうか。何人か集まって、こちらを指差して何か話している。何を話しているかは想像出来る。 俺は画面の指示に従って、手を動かし続ける。コインが下皿に貯まってくる。 「あの台にいくら突っ込んだ」だの「さっきまで打ってた」だの言ったところで自分のフトコロが温かくなる訳じゃない。自分から運を手離してしまったのは、自分だ。 婆さんが近づいて来る。 睨んでいる。 「ここ、私が打ってる台なんだけど!!どいてよ。」 「はあ?」 「ここは私が打ってる台なの!!」 何を言ってるんだ!?この婆さん?
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