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いっそ叫びだしてしまいたい衝動に駆られるが、のどがカラカラに乾いて、唇も硬直したように閉じたまま固まった。
どうしよう。
ここは浜から少し離れた、海の上。
周りには何も浮かんではいない。
私だけが、この場にぷっかりと佇んでいる。
こちらを指さしていた友人たちも、困り果てたような顔をしている。
彼らの内の誰かが、他の友人たちへと何かを伝えているのが分かった。
そして少しすると、砂浜で肌を焼いていた友人の一人がこちらへ向かって海に入ってきた。
「レイナっ!水着、上!流されてる!」
私の名前を呼びながらこちらへ来る彼女は、その手にタオルを持っていた。
私が水面に見たモノ――それはあるべきはずの、水着に付いていた大きなリボンのシルエットが無い自分の影だった。
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