そういえば、大抵の主人公はギルドに所属するよなー

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「んー、常にストレスを与えられて極限状態を維持させられてきたせいかもな」 「明るい話じゃなさそうだなー」 余りにも重い事をさらっと言うので、その内軽いノリで食事が喉を通らなくなりそうな話を聞かされそうな予感にげんなりするシュバルツ。 「そいで?今日は練習するのかい?魔法」 「勿論だとも。魔法が使える機会なんて学校行かない限りないし」 「りょーかい。仮契約者シューバルツ・アーモンド。同調を開始する」 「シュバルツな」 サイサに名前のイントネーションを指摘しながら、シュバルツは左胸に描かれた契約陣が熱を持つのを感じた。熱は体全体に広がり、サイサからの補助を受ける事が可能な状態になる。 人間はひとりでは魔法を使えない。人間は確かに魔力なるものを宿してはいるが、魔法として放出するには精霊の力が必要になる。ただ使う分には精霊のランクは関係ないが、より上質な魔法を使いたいなら高いランクの精霊と契約する必要があるのだ。 精霊の感覚と人間の感覚は大きく違い。精霊に取って魔法を使う事は呼吸と同じく、こうすればこうなる程度の物でしかない。その感覚は人間には正しく伝わらず、理屈に当て嵌める事も出来ないので同調という感覚共有が必須になる。 「んじゃ、軽くおさらいだ。魔法を使う上で大切なのは信じる事、そして強い意思を持つ事。まぁ簡単に言っちまえば自分なら出来る!って思えば良いんだよ」 「毎回思うけどアバウトだよな」 「魔法に理屈なんてないんだからしょうがない」 また、共有と言っても思い等がお互いに通じ合うという訳ではなく。人間側が魔法を使う必要条件を満たしていれば精霊側が勝手に途中経過をクリアするというだけである。精霊も特に意識して行っている事では無いため別の事に夢中になっていても問題ない。 ただ唯一問題なのが、精霊は人間に対して協力的ではないということ。人間に取っての扱いやすさ順は精霊のランクと同じく、高いほど扱いにくい。 「それを思うと、遅かれ早かれあの実験はされてたんだろうなー。今も別の国で行われてそうだけど……、うっし」 シュバルツの練習風景を退屈そうに眺めながら、サイサは呟きを漏らした。復讐内容もひとつ決まり、サイサは魔法の制御に失敗して山火事を起こし掛けているシュバルツを指差して笑うためにニヤニヤしながら近寄っていった。
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