そういえば、大抵の主人公はギルドに所属するよなー

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流れる雲を見ながら、寝ぼけ眼でサイサは言った。 「なーシュー」 「シュバルツな。なんだ?」 「サヨナラ以外に別れの言葉ってなんだっけ?」 「あぁ?なんだよ藪から棒に」 シュバルツが制御に失敗した時用に準備した水を細長く伸ばして竜の形を作りながら、まるで寝るような体勢で浮かぶサイサは欠伸混じりにそんな問を投げた。 「いやー、随分前に耳にした言葉がなんだったかなーっと。なんか再会を意味する響きだったんだけどさ、なんかない?」 「なんだ、『またな』がどうかしたのか?」 「マタナね。了解」 「……?」 サイサから漂う微妙にしんみりとした雰囲気を疑問に思い。シュバルツは魔法の練習を中断して空中に寝転ぶサイサを覗き見る。 「……お前、何考えてる?」 「復讐」 ふわりと地に足を着けるサイサ。顔を俯けるサイサから謎の威圧感を感じて、気圧されたようにしてシュバルツはサイサから距離を取った。 「おい、馬鹿な事は止めろ!事情はよく分かんねぇけどそれって良くない事だろ!?」 「……まぁ、復讐が悪いって考えは間違っちゃないよ。けどさ、誰かのためにする復讐ってさ、そんな悪い事なのかな?」 「どうしたんだよ急に!訳分かんねぇ……っておいコラ」 サイサの上がった顔を見て、シュバルツは張り詰めていた空気を吐き出し新しい空気を取り込んでジト目でサイサを睨んだ。 その顔は悪戯が大成功した様な満面の笑みを浮かべていたのだ。 「バッカでぇ!引っ掛かってやんの!」 「こ、コイツッ。テメェふん縛ってギルドに突き出してやるぁあああ!つか紛らわしい事すんなや!!」 「暇だったんだから仕方がない。よって俺は悪く――あぶっ!?剣投げるとか卑怯じゃね!?」 「お縄に付きやがれクソ精霊!」 頭に血が昇ったシュバルツはサイサの思惑通り追っ掛けっこになっている事に気付かず、森の出口へと走るサイサを追い掛けていった。その後、二人が居た場所にサイサが一度焼き払った鷹の精霊が降り立ったのをシュバルツは知らない。 「うーん。二度目かー、当たりを付けられてると見て間違いないかな。鷹と感覚共有してるみたいだから多分視界に入ったらアウト、鷹の目ってやつでしつこく追われそう」 実の所、熟練された者なら精霊との情報の共有が可能になる。視覚なり聴覚なり、精霊を介して契約者も見たり感じることが出来るのだ。
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