第1章

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性格というものは体と精神が成長しても余り変わる事はない。 「あの、貴方は?」 例え、非人道的な実験体にされ、強い復讐心を持とうとも、目の前で殺され掛けていた少女を見捨てるという選択肢を取る程、少年の性格は冷たくはなかったのだ。 金色の髪が月の光を浴びてキラキラと輝き、深い蒼色の瞳を持つ少女が訊ねる。 先程まで乱暴に掴まれ、赤くなっている腕を薄い胸に当てて押さえている少女をチラリと見て、少年は頭を抱えた。 「あー、もう!我ながら損な性分だよホント」 黒い髪を乱暴に掻き回し、苛つきの入った溜め息を吐き出した。 少年は髪とは対称的な白い服を着ていて、所々が赤く汚れている。 「ほら、ついでだからその腕見せてみぃ」 「え?」 「だーかーらーっ!この腕を出せっての!」 「きゃっ!?」 反応の鈍い少女に苛立った少年が、乱暴に赤くなっている少女の腕を引っ張る。驚き短い悲鳴を上げる少女、続けて何をするのかと問い詰めようとしたが、己の腕を包み込む黒い光を見て息を呑んだ。 「ま、魔法……?」 「そだよ。魔法、珍しいのは分かるけどそんな驚く事かい?」 憮然と唇を尖らせながら、少年は黒い光を消す。すると、腕にあった赤い跡は綺麗に無くなっていた。 「治癒魔法!?えっ!?それは深い知識と技術がないと出来ないって!なんで出来るんですか!?それに精霊だって――」 「あー!だからそんな驚くなって!出来るもんは出来るの!詮索すんなバーカバーカ!!」 少女の言葉を遮って、口汚く罵る……と言うには些か可愛い罵倒だが、幼い少年に取ってはこれが精一杯の傷付ける言葉なのだ。 そして、生まれてこの方汚い言葉を始めとして罵られた事などない少女に取って効果は抜群だった。 「バカっ!?バカとはなんですか!私を誰だとお思いで!?」 「んなもん知ーらね。何々?なんですかぁー?世界中の人が自分の事を知ってるとでも思ってるんですかぁー?おめでたい頭してんのな」 「ムッカァー!!良いでしょう!名乗って上げますよ!私はラーメン王国第三王女!ララス・トリニティ・タピオカデス!」 「うっわ!王族助けちゃったよ……」 まさかの復讐対象の一人を助けてしまった事実に、少年は顔を手で覆い天を仰ぎ見た。
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