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サイサがララスと邂逅してから数年が経ち、命を狙われながらものんびりと自由に日々を過ごすサイサ。
復讐を誓っては居るが、具体的に何をするかまでは全く決めていない為に行き詰まっていたのだ。
そんなサイサが少し前に小遣い目的で近付いた少年の家で、ちょっとした騒動が起きていた。
「こら!ギルドよりもお勉強でしょシュバルツ!」
「知らないよそんなの。俺は元々ギルドで働いてたんだ。後から出来た法律になんて納得出来るか!」
「まあ!全くこの子はもう!魔法学校に通う事がどれ程名誉な事か説明したでしょ!」
「んなもん要るかっ!!母さんが自慢したいだけだろ!!」
愛用の剣を腰に巻き付けて、シュバルツと呼ばれた少年は乱暴に家の扉を閉める。立て付けの悪くなりそうな音を立てた扉から離れ、視界の端にちらつく黒い髪を見て溜め息を吐いた。
「来たのか、サイサ」
「よっす、シューオハヨウ!今日も良い天気だな!」
「シュバルツだ。いい加減ちゃんと呼べって」
「言い難いんだよ。勘弁な」
シュバルツはもう一度溜め息を吐き、空中に浮かぶサイサから視線を外して歩き出す。
「んで、また小遣い?」
「そ!依頼手伝うから小遣いくれ」
「あのな、部外者に手伝わさせるのはギルド的に御法度でだなー」
「バレなきゃ良い。これまでバレた事ないだろ?」
所で、とサイサは続けた。
「魔法学校って何?」
「お前なー……」
思わず足を止めて頭を抱える。サイサの常識知らずな言動には慣れたものだが、まさか学校すら知らないとは思わずシュバルツは今日何度目かの溜め息を吐いた。
「学校ってのは一部の金持ちが通う教育機関なんだよ」
「あー、そうなんだ」
「なんで学校は知らないのに教育機関で分かるんだよ。まぁいいや、んで、中でも魔法学校は更に限られた才能ある者しか通えない学校なの!」
「何苛ついてんの?」
「苛ついてない。でだよ、つい最近魔法の才能ある者は強制的に魔法学校に入れさせられるようになっちまったんだ」
「ん?良い事じゃん」
「ここまではな。有り得ねぇのはここからだ!なんだよ学費自己負担って!強制するなら国が負担しろや!ふざけんな!」
苛ついてるじゃん、と思いながらもサイサは納得した。大義名分があれば平気で非人道的な実験に手を出すこの国だ。発言力のないに等しい平民の事など考えはしないだろう。
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