そういえば、大抵の主人公はギルドに所属するよなー

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「嫌な予感?」 空中に浮かび、逆さま状態のサイサが問い掛ける。 「あぁ、なんか面倒事の予感ってなんで逆さまなんだよお前っ!」 「待ってる間暇だったもんで」 「意味分からん!」 流れる汗を拭い取りながら、シュバルツは胸に抱える不安を口にする。 「お前、人を殺した事あるか?……二桁ぐらい」 「ん?……あ、察した。なーほどなー」 「何に納得してんだお前?っで、どうなんだ?」 「そうせかせかすんなって、そいじゃひとつ目から、あるよ、殺した事。んで二つ目、殺した人数は知らん。意識して殺してた訳じゃないし」 「じゃあ、この依頼書の対象はお前って事でいいんだな?」 シュバルツはパンフレットのように束ねられていた精霊討伐の依頼書を取り出して、見えるように突き付けた。 内容を読み終えたサイサは逆さま状態を直し、シュバルツと視線を合わせる。 「俺以外に居るなら、是非会いたいな」 それは肯定の言葉。サイサのすっとぼけた様な言い回しは会った頃から変わらず、人を食ったような態度も相変わらずで、何を考えているのかシュバルツには分からなかった。 「なんなんだよ、お前」 「ただの人外、または精霊の成り損ない。それか哀れなモルモット、若しくは被験体No.313。どこで生まれたのかは忘れたなー」 その言葉はどこまでも軽い。本人がどうとも思っていない事が原因ではあるが、サイサ自身が適当な性格な為シュバルツはどう受け取れば良いのかに困った。 「訳分かんね」 「それで良いんじゃん?分かんなくてもさ。俺はサイサでお前はシュー、変わる事のない事柄だろ?」 過去や立場など関係なく、楽しくやっていこう。サイサはそう言いたいのだろう。 シュバルツは溜め息をひとつ吐いて、いつものように呆れながら言った。 「バカめ、シュバルツだ」 「バカは余計だろ!?」 うがーっ!っと唸るサイサを放って、シュバルツは精霊討伐の依頼書を破り、丸めて宙に投げる。それに気が付いたサイサが指を鳴らすと燃え始め、灰も残さず消え去った。 「さてと、始めは採取からだ」 「えー、俺ちまちました作業きらーい」 「つべこべ言わずに転移しろおら!」 「イタタタタッ!ちょ!ちょい待ち!そんな押し付けられたら見えない!依頼書見えないって!」 シュバルツとそんなやり取りをしながらサイサは、どこからか飛んできた鷹の精霊を見つかる前に黒い炎に包んで消し去った。
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