わんこキィオと三匹の子猫

3#子猫達を『猫』にするために

　子猫達への『路上研修』に同行した野良犬とキィオも、あらゆることを頭の中に一緒に学習していった。

　・・・何とか盗もう・・・

　・・・猫の生き方だって、犬にも応用出来るかもしれない・・・

　「・・・・・・」

　「・・・？！」

　ドラ猫のユタは、野良犬のキィオの気配に気付いた。

　「フーーーーーーーッーー！！」

　「な、なあに？い、威嚇？！何で威嚇するの？」

　「フニャーーーーーー！！」

　「ひいいいっ？！」

　ドラ猫のユタは、いきなり爪を剥き出しにして、野良犬のキィオに襲いかかってきた。

　「きゃいん！きゃいん！きゃいん！きゃいん！」

　キィオは、悲鳴をあげてその場を逃げ去った。

　・・・何で・・・

　・・・何で今まで、自分と和気藹々に付き合ったてたのに・・・

　子猫達の教育をするようになったとたん、『豹変』したユタの態度にキィオはショックが隠しきれなかった。

　はっ！はっ！はっ！はっ！はっ！はっ！

　野良犬のキィオの動悸は止まらなかった。

　・・・何で、ユタさんは自分を威嚇したんだ・・・？！

　・・・邪魔・・・？！

　・・・邪魔とはけしからんな・・・！

　キィオの脳裏には、フツフツとある衝動が沸き上がった。

　・・・教える・・・

　・・・自分も子猫達を教える・・・

　・・・あの子猫達をあのドラ猫と一緒に、自分なりに・・・

　てくてくてくてくてくてく

　・・・ドキドキするなあ・・・

　野良犬のキィオは、3匹の子猫の前に現れた。

　「や、やあこんにちわ、子猫ちゃん達！」

　「あ、この前の犬のおじちゃん！！」

　「まだいたの？おじちゃん犬？」

　「おじちゃん犬！！邪魔しないで！」

　・・・『おじちゃん犬』『おじちゃん犬』って言うなーっ・・・！！

　「じ・・・『おじちゃん犬』がいいこと教えてあげるよー！！」

　野良犬のキィオは、子猫達を崖の上に連れてきた。

　「今から、『空を飛ぶ』方法を教えるよーー！！」

　「空を飛ぶ方法？」「猫も空を飛べるの？」「おせえておせえて！！」

　三匹の子猫達は、犬のキィオに興味深々になった。

　「ほおら、崖の上に立って！！
　こう、翼をばたつかせて、風を掴んで・・・」

　ビーグル犬のキィオは、前肢をばたばたと崖の上で上下にばたつかせた。