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「うううううううううううう・・・
わん!!わん!!わん!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!ばうっ!!」
「この馬鹿犬!!まだ居たのか!!」
・・・しまった・・・!!
犬のキィオは、トラウマの恐怖に囚われた余り思わず吼えてしまったのだ。
「うにゃーーーーーーっ!!!!!」
ドラ猫のユタは、激しい怒りの形相でキィオを追いかけてきた。
「すいません!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
キィオは必死に逃げた。
「・・・あの猫はもう追いかけてこないな。」
犬のキィオは辺りを見渡し、恐る恐るトボトボと塞ぎこむように歩いた。
・・・どうしよう・・・
・・・感情が前に出て、あのドラ猫を激怒させてしまった・・・
・・・もう二度と、あの子猫達とは逢えない・・・!!
・・・自業自得とはいえ・・・!!
野良犬のキィオは、後悔のしっぱなしだった。
ふと、キィオは空を見る。
・・・やっぱり、『犬』になったのが失敗だったのかなあ・・・
・・・一生『カラス』のままで・・・
ちゅん!ちゅん!ちゅん!
「おっ!チュン太朗!!」
スズメのチュン太朗は、犬のキィオがカラス時代に知り合いだったスズメだった。
ちゅん!ちゅん!ちゅん!ちゅん!
「君は・・・チュン太朗かい?!おーーい!!チュン太朗!!元気かーーーい!!」
ちゅん!ちゅん!ちゅん!ちゅん!
「・・・シカト・・・」
無理も無かった。
スズメと犬。
犬に変化したキィオはスズメのチュン太朗とは『種族』が違ってしまい、言語が通じなくなってしまっていたのだ。
ちゅん!ちゅん!ちゅん!ちゅん!
「チュン太朗!!ああっ!!そこは!!駄目!!行かないで!!引き返して!!」
犬のキィオは、血の気が引いた。
「うにゃん!うにゃん!うにゃん!」
耳黒の子猫、ピンの前肢の爪がうっかり飛び出してきたスズメのチュン太朗目掛けて、何度も飛び掛かってきた。
ちゅん!ちゅん!ちゅん!ちゅん!
「うにゃん!うにゃん!うにゃん!」
スズメのチュン太朗は、ドラ猫のユタの狩りの訓練の練習台にされていたのだ。
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