1#軒下の子猫

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 「『犬』になれたのは、なれたけど・・・」  キィオが『カラス』の身から、『ビーグル犬』に転生してから、早一週間が過ぎた。  餌を探すにも、キィオは『前世』のカラスの場合は人様のおこぼれを上空から直接ゲット出来たが、犬の場合はいちいち鼻で匂いを嗅いで探しまくって確保したければならない。  「このクソ犬!!あっちにいけ!!しっ!しっ!」  と、人間に怒鳴られては一目散に逃げまくる。  そんな毎日を過ごしていた。  グーー・・・  キュルルル・・・  「腹へった・・・!!」  キィオは、そんな時に最後の手段を発動する。  飼い犬のいる家に忍び込んで、おこぼれを拾う。  この手段は、かなりのリスクをともなう。  何故なら、飼い犬は誰もが寛大な感情を持ってる訳ではなく、直ぐに喧嘩になり、飼い主に見つかって追い払われるからだ。  中には、『泥棒犬』のキィオを歓迎するおおらかな飼い犬もいる。  その1匹が、ハスキーとボーダーコリーのミックスの『ポン』という雑種犬だ。  ムシャムシャパクパク!!  『野良犬』のキィオは、雑種のポンが差し出してくれる食べ残しを分けてくれた。  「美味しいかい?野良犬さん。」  「おいしい!ありがとう!」  口いっぱいに頬張る『野良犬』のキィオは、笑顔で答えた。  「どういたしまして。助かるよ、俺は食が細いし。」  雑種のポンも、尻尾をふってニコッと微笑んだ。  そんなある日のこと。  「やあ、『野良犬』君。」  「こんちゃ!ポンちゃんとやら。」  「また、おこぼれ?御免ね!全部食っちゃった!!」  「がーん!」  「だって君、『野良犬』でしょ?本来僕の分だし。」  「そ、そうだね。すまん。」  「それより、あの隣の家見ろよ。あの白い猫。  じーーーっと、ガレージの奥の穴を見詰めているよ。  なにやってるのか、見てきて!」    雑種のポンの言われるがまま、野良犬のキィオは隣の白い猫の側をのそり、のそりと忍び足で近づき・・・  ガコン!  「?!・・・脚で何か踏みつけたらしい。」  「はっ!」  白い猫は、怖い奇妙なビーグル犬の影を見つけると、ササッ!!と逃げていってしまった。  みゃーーーーー!!  みゃーーーーー!!  みゃーーーーー!!  ガレージ奥の穴から何か声が聞こえ、キィオはその穴を見つめた。  
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