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ドラ猫のユタは、野良犬のキィオを「どけ!」と退かせると、子猫達に鼻面を近づけて、優しく目を細めた。
「お前達は、親猫に見捨てられたんだってな・・・
俺は人間に捨てられた。兄弟ごと段ボールに入れられてな。
ゴミと一緒に捨てられたんだ・・・」
「何て酷いことを!!」
野良犬のキィオはこの話に憤慨した。
「僕も元捨て犬だったんだよ。
保健所で殺されるとこを、飼い主に貰われたんだ。」
寝ていた雑種犬のポンが、また起きて言った後、またグーグー眠りこけた。
「兄弟は餓死した。俺だけ残して・・・
俺は独りで生きた。独りで生き延びた。
生きる術は、経験から独学した。
そして、この孤独を癒してくれたのが、あのシェリーという雌猫だ。
まあ、シェリーは人間に去勢させて『地域猫』だったから子猫には恵まれなかったけどな。
そんな俺も、後に『地域猫』になったけどな。」
白猫のシェリーと、ドラ猫のユタは野良犬のキィオに、片耳の『地域猫』の証のギザ耳を見せた。
「そうだったんだね・・・苦労したね・・・」
野良犬のキィオは、『カラス時代』のトラウマがフラッシュバックして涙を溢した。
「俺、この子猫をイッチョマエの猫に育てる!!」
ドラ猫のユタは、猫背を正して鼻の孔をパンパンにして宣言した。
「あたしもいるのよ!あたしも手伝うわ!!」
白猫のシェリーも、ドラ猫のユタの側にすり寄って言った。
「自分も!!」
野良犬のキィオも言った。
「僕は・・・」
雑種のポンも言った。
「君はどっちでもいいよ。」
「はーい!!・・・グーグー・・・」
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