2#子猫を救え!

4/4

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
 ドラ猫のユタは、野良犬のキィオを「どけ!」と退かせると、子猫達に鼻面を近づけて、優しく目を細めた。  「お前達は、親猫に見捨てられたんだってな・・・  俺は人間に捨てられた。兄弟ごと段ボールに入れられてな。  ゴミと一緒に捨てられたんだ・・・」  「何て酷いことを!!」  野良犬のキィオはこの話に憤慨した。  「僕も元捨て犬だったんだよ。  保健所で殺されるとこを、飼い主に貰われたんだ。」  寝ていた雑種犬のポンが、また起きて言った後、またグーグー眠りこけた。  「兄弟は餓死した。俺だけ残して・・・  俺は独りで生きた。独りで生き延びた。  生きる術は、経験から独学した。  そして、この孤独を癒してくれたのが、あのシェリーという雌猫だ。  まあ、シェリーは人間に去勢させて『地域猫』だったから子猫には恵まれなかったけどな。  そんな俺も、後に『地域猫』になったけどな。」  白猫のシェリーと、ドラ猫のユタは野良犬のキィオに、片耳の『地域猫』の証のギザ耳を見せた。  「そうだったんだね・・・苦労したね・・・」  野良犬のキィオは、『カラス時代』のトラウマがフラッシュバックして涙を溢した。  「俺、この子猫をイッチョマエの猫に育てる!!」  ドラ猫のユタは、猫背を正して鼻の孔をパンパンにして宣言した。  「あたしもいるのよ!あたしも手伝うわ!!」  白猫のシェリーも、ドラ猫のユタの側にすり寄って言った。  「自分も!!」  野良犬のキィオも言った。  「僕は・・・」  雑種のポンも言った。  「君はどっちでもいいよ。」  「はーい!!・・・グーグー・・・」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加