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ポツリと呟いた言葉は、誰に聞かれるでもなく
茜色に染まる空に溶けていった
バンッ!
「起きろっ!敬一!」
「ぐえっ!」
突然の甲高い声と、鳩尾に当たった痛みに、無理矢理夢から引きずり出された
「あにずんだよ…」
「ああ?日本語喋れ」
うずくまる俺を見下ろし言う、この女は俺の妹だ
セーラー服を纏い、長く艶のある黒髪、眼はパッチリの二重、色白で見た目モデル並みのスタイル
だが
「さっさと起きろ、電話だ」
口が、すこぶる悪い
「お前なぁ、仮にも俺は兄貴だぞ?もう少しお越し方があるだろう?」
「どんな?」
妹は仁王立ちしたまま言う
「そうだなぁ、例えばこう『お兄ちゃん朝だよ起きて』と優しくだな…」
俺がチラッと妹を見ると
「分かった、こう?」
突然ベットに片膝を置き、手を着くと
「お兄ちゃん朝だよ起きて」
ウルウルとした眼に頬を僅かに赤らめ、甘ったるい声で言う
長い黒髪がヤケに色っぽく垂れ、俺の頬をくすぐった
「お兄ちゃん…」
ゴクッ…
ヤバい!妹に何発情してんだ俺っ!
ゴンッ!
「ぐっ!」
「さっさと起きて飯食え」
撃沈…
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