第1章

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妹の話によると、昨夜俺は泥酔状態で帰って来たと言う 昨日は、俺が初めて受け持った事件が片付いて先輩達が祝ってくれた 今日は非番で、最近は事件らしい事件もなかった事もあり、かなり飲んだ事は分かっている だが、今まで記憶が無くなる程飲んだ覚えはない 「大丈夫?」 流石の妹も心配そうに、俺の顔を覗いてくる 「ボロボロってどれほど?」 「血だらけだった」 「え?はぁぁっ?!!」 俺は慌てて、パジャマを脱いだ 上半身は綺麗に手当てされ、包帯が巻かれていた 「誰が手当てした!」 「美紀姉だよ、重いし酔っ払ってたし…怪我まで……」 そこまで言うと、妹の眼から涙がポロポロと流れ出した 「敬一が…お兄ちゃんが…死んじゃうかもって思った…ヒック…」 あ… 「柚葉…」 泣き出した妹を優しく抱き締めると 「俺は、どんな怪我だった」 「バイクで転けたんじゃないかって美紀姉が言ってた」 グズッと鼻をすすり妹が言う 俺は妹を離すと、自分の部屋へ行き、素早く着替えを済ませると、もう1台の携帯を手に部屋を出た 「もしもし如月さん?上沼なら家から近いので、現場直行します」 『ああ、分かった、被害者は山根忠則、64歳、職業は警視庁捜査一課の刑事だ』 俺は衝撃で言葉が出なかった
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