第1章

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『敬一、敬一!』 如月さんの声に、ハッとすると 『お前、山さんと親しかったろ、最近何か聞いてなかったか?』 「いえ…特に気になるような事は言ってませんでした」 『そうか、兎に角現場に急げ、後お前大丈夫か?』 「え?」 『山さんだよ、親代わりだったんだろう』 あ… 「大丈夫です」 俺は、それだけ言って電話を切った 「敬一!」 玄関に行くと、妹が呼び止めてきた 「朝飯、ちゃんと食わないと頭回らないだろ」 渡されたのは、サランラップに包まれたオニギリだった 「サンキュー、行って来る」 「行って来い」 玄関を出て駐車場で俺は声をあげた 「俺のバイクがぁぁぁっ!」 「朝から煩いよ!」 「美紀!てめぇ何やってんだよ!」 「見りゃ分かんだろ!修理だよ修理!」 オイルで汚れた頬を拭って、隣に住む俺の幼なじみが言った 「お前、鑑識だろよ、事件知らねぇの?」 「知らない訳ないだろアタシの車貸してやるから早く現場行きな、鑑識は管轄外だから向こうの鑑識が出るよ」 美紀は車のキーを投げて寄越した 「悪い助かる」 「早く行きな」 俺は頷くと、車のエンジンをかけた ××町上沼、俺が産まれて育った町 上沼は都心と違い、山間にある小さな町だった、田園風景が広がり、静かで良い所だ
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