第1章

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家を出る時に、自分で自分にツッコンだ。 オイオイ、俺…… 流石にノートパソコンは要らんだろ?いるのは小銭と暇つぶしの為の文庫本くらいだろ? こんな所にまできて、しかもお盆休みなのに仕事から離れられないって……どんだけ仕事が好きなんだよ。帰省中は絶対に仕事はしないと決めていた。だから俺は身軽に徹して玄関に向かう。 ……が、 「あんた、大池行くんでしょ?はい!これ」 母ちゃんに袋を渡された。 中には家の井戸水でよく冷えたキュウリ4本と赤いキャップの塩が入っていた。 まぁ確かにガキん時、よくキュウリを持って河童に会いに大池に行ってたが…… 身軽に徹するつもりだったが。 だが、パソコンよりも役に立つだろう。 腹が減ったらおやつにでもするつもりで袋を受け取った。 青々した田んぼを眺めながら、大池の方へ歩く。 青い空と入道雲のコントラストを眺めて、絵に描いたような夏の空を見上げる。 子供の頃はあの雲がいろいろなものに見えたな。 今の俺には雲にしか見えないや。 頭が固くなってるんだろう。 きっと、こんな俺にはもう写真なんて撮れないだろう……
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