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おん婆は帰ってきた俺と成長した夏海を見て、大変感激した。
感激しすぎて、老体に鞭打ってまで俺らに豪勢な夕飯をご馳走してくれたほどである。
その夕食を食べながら、この3年間の俺の話、夏海の話をしている内に気付けば時刻は9時を回っていた。
「おん婆、俺らはそろそろ帰るよ」
「あやまぁ、もうこんな時間。気を付けて帰るんよ、宏騎は男の子なんやから夏海ちゃん送っておあげ」
おん婆に言われなくても俺はそうするつもりだった。夜道を送るなんてまるで彼氏彼女みたいだな、と考えると顔が少し緩む。
「うん、ご飯ごちそうさま」
「ウチまでごちそうになって、ほんまありがとうございます」
俺に続いて、夏海がペコッと可愛らしく礼をする。
「それじゃ」
そう言って俺らは家をでた。
おん婆の家は町の中でも少し外れの方にあって、街灯もまばらにしか建てられてない。そのため、外は5m先すら見えないほどの暗闇だった。
「夏海の家どっちだっけ?」
「あっちの方」
夏海の家は駅に向かう方だったので、俺としても都合が良い。
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