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「夏海変わっててビックリしたよ」
少し歩いたところで俺は話を切り出した。
「え?」
また、夏海が少し緊張気味な反応を見せる。
「ああ心配しないで、悪い意味じゃないよ。その、なんていうか」
言い出そうとして、少し戸惑った。頬の辺りが熱くなっているのが分かる。
「なに?」
夏海が無邪気に顔を覗き込んで訊いてくる。
「その、可愛くなったなって」
夏海の顔がみるみる赤く染まっていく。
「う、ウチもびっくりしたんよ。なんか顔つきとかも大人になっとるし、なにより標準語になっとったから」
ああ、確かに。
3年間東京の学校で過ごしたせいで、関西弁は少し忘れてしまった。
「なんかもうウチの知っとるヒロやんちゃうんかなーて」
「夏海……」
「かっこよくなって、ウチの事なんて忘れてしもたんかなーて」
「そんなことない!」
突撃俺が大声を出したからか、夏海は驚いてしまった。
「あ、ごめん……」
その後はしばらくお互いを意識して、どちらも喋らなかった。
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