午前2時の浴槽

7/13
前へ
/13ページ
次へ
「そんな笑うなよー」 「だって、めっちゃ真剣な顔しとるんやもん、あはは」 冗談を本気にしたみたいで少し恥ずかしさはあったが、この笑顔を見れるならその程度の恥は書き捨てられる。 「まあたかが都市伝説なんやから、そんなびびらんといて」 「びびってないよ!」 「びびっとるやん!」 「びびってない!」 「びびっとる!」 そんなことを言い合って、その後少しだけ目があって、恥ずかしそうに二人で笑いあった。 「あ、ウチここや」 夏海はマンションの立ち並ぶ団地の入り口に立ち止まると、そう言った。 「家の前まで送るよ」 「ええよええよ、結構の奥の方やし。それに」 そこで少し夏海は言い淀んだ。暗がりで見え辛いが頬が赤くなっている気がする。 「それに?」 「おかんたちに見つかったら勘違いされるやろ……?」 「勘違い?」 「その……ウチらがそういう関係やって」 ああそういうことか、確かに夏海の母親は大阪気質のおせっかい気質だった覚えがある。 「そんな勘違いするか?」 「するー!なんか今ウチのそういうのにめっちゃ敏感やねん、ウチの家族」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加