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「そんな笑うなよー」
「だって、めっちゃ真剣な顔しとるんやもん、あはは」
冗談を本気にしたみたいで少し恥ずかしさはあったが、この笑顔を見れるならその程度の恥は書き捨てられる。
「まあたかが都市伝説なんやから、そんなびびらんといて」
「びびってないよ!」
「びびっとるやん!」
「びびってない!」
「びびっとる!」
そんなことを言い合って、その後少しだけ目があって、恥ずかしそうに二人で笑いあった。
「あ、ウチここや」
夏海はマンションの立ち並ぶ団地の入り口に立ち止まると、そう言った。
「家の前まで送るよ」
「ええよええよ、結構の奥の方やし。それに」
そこで少し夏海は言い淀んだ。暗がりで見え辛いが頬が赤くなっている気がする。
「それに?」
「おかんたちに見つかったら勘違いされるやろ……?」
「勘違い?」
「その……ウチらがそういう関係やって」
ああそういうことか、確かに夏海の母親は大阪気質のおせっかい気質だった覚えがある。
「そんな勘違いするか?」
「するー!なんか今ウチのそういうのにめっちゃ敏感やねん、ウチの家族」
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