午前2時の浴槽

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この日いろいろあったせいだろうか、昨日の引っ越し作業からの疲れがどっと吹き出して、俺は帰ってすぐにソファーで寝てしまった。 目が覚めると時計の針は1時50分を指していた。 家には誰もいない。父親は業務の引き継ぎがあるので明後日こっちに来ることになっている。 俺は手探りで電気のスイッチを探して電源をいれる。 体中が汗でベタついていて気持ち悪い、この季節に冷房もつけずに寝ていたからだろう。 風呂でも入るか。 そう思って俺はソファーから起き出した。 そういえば寝る前に風呂を沸かしていたな、などと寝ぼけた頭で徐々に思い出しながら、浴室へ向かう。 脱衣場で服を脱ぐと、すこし寒気がして体が震えた。 浴室に入ってシャワーの蛇口をひねると、シャワーヘッドから冷たい水が降り注ぐ。 シャワーが温水になるのを待っている間、ふと備え付けのデジタル時計が目に入った。 時刻午前2時。俗に言う丑三つ時。 夏海から聞いたあの話が急に思い出される。まるで背筋をかけ上ってきたかのようなゾクッという感覚と共に。
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