無明

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無明

 近頃あちこちに前は老夫婦が住んで居たが、順に亡くなられ、子孫も自分の仕事の関係で今の住まいを離れられず、家を壊してさら地にすると。固定資産税が 何倍も課税される。  さりとて新たに建築して利用する程の力は子孫にも無い。  だから生者の住まない空き家が何年でもその儘であり、亡き人の表札が何年も掛かっている。  私はフト夜中誰も住まない家に入ってみたら、如何だろうと思った。  亡者にのみ見えるボ-ッとした空間、それに「無明 明るく無い」と言う言葉を思った。  其処に嘗ては親しく語った相手が「魂魄」として無表情に坐している。  ミステリアスな情景を読み手にゾッとするものを与える文を書いて見ようと思った。  「無明」それは私の「造語」かと思ったが、辞典に乗った用語dえあった。
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