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来生夏樹
「へえ、秋の芝居の練習かよ。おもしろそーじゃん」
おとなしく寝ていればいいのに、トラブルは引っ掻き回さずにはいられない次男の夏樹が、うれしそうに部屋から出てくる。
今まで寝ていたからか、上半身裸だ。
来生家の次男と三男は、自室では服を着る習慣がないらしい。
この環境に少しは慣れてきたとはいえ、やっぱり鈴音は目のやり場に困り、床をみつめるしかなくなってしまう。
すると、
「で、秋は上手くやれたわけ?」
鈴音が目をそらした隙に夏樹はおもむろに近づいて、鈴音の体の脇に両手をついた。
「――こんな風に迫ればいいのか?」
鈴音を壁際に囲ったつもりらしいが、夏樹の方が大きすぎて、鈴音に覆いかぶさるような体勢になる。
鈴音の顔が夏樹の影で遮られた。
夏樹は、何も着ていない。
裸のままだ。
至近距離の夏樹のフェロモンむんむんな裸体は、ちょっと目眩を起こしそうな迫力で、
「……あの、夏樹……」
「ん?」
「お願いだから、もちょっと離れて……」
鈴音がなんとか言うと、夏樹はニィッと唇の端をあげて笑う。
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