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「うお、高っけー! あの上まで登るんだな」
急勾配を登り始めたコースターに、秋哉は元気にはしゃいでいる。
ぶんぶん腕を振り回すたびに、鈴音たちも乗った同じ車両がグラングランと揺れた。
景色はぐんぐんと開けて、体感ではほどんど真上へ登っていくに等しい。
左右に柵もない真っ青な空が真正面に見え、思ったより心もとないシートベルトに少し不安になってから、やっと思いついた。
もしや春一も絶叫マシンが苦手なクチなんじゃないかしら?
そこで、
「春さん?」
無理やり首を回して見れば、春一は、
「ん?」
いつもと変わらぬ笑顔。
「ほら、もう付くぞ」
そう教えられて前を向けば、コースターは一番高い場所、てっぺんだ。
そして一気に真下に向かって急降下する。
「キャーッ!」
「ひゃーほーっ」
「鈴ちゃーん!」
誰が誰やわからない叫びが、コースター上に響く。
てんでに大騒ぎ。
さすが園内1の絶叫マシンだ。
体にかかるGの迫力は最高で、鈴音は冬依にしがみつかれて思わず大笑いした。
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