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ウォーターショットは夏だからだろうか。
急流すべりと呼ぶにはあまりに派手な水しぶきが、ライドが落ちる場所で激しく爆発するようにあがっている。
それが名物らしいが、もちろん全身がぐしょ濡れになるのでポンチョが一枚100円で販売中。
しかし秋哉は、
「いらねーよ。水浸しになるのがウォーターショットだろ」
そういうクルーは秋哉の他にも何人かいて、
「スズネもカッパなんか着るなよ、めんどくせー」
秋哉に勧められて鈴音はちょっと考える仕草をする。
『本気か鈴音』
春一はかなり慌てた。
「いや止めとこう鈴音。ほら女性はみんなポンチョだし」
らしくもなく『みんな説』を引っ張り出して説得するのは、あれだけ濡れれば、鈴音が着ている薄手のカットソーなんか、ぺったりと張り付いて、体の線があらわになってしまうからだ。
それがどんなに他の男に見せたくない姿かなんて、鈴音には想像出来ないのだろうか。
純粋というか無頓着というか。
「スズネなんか胸ないから、濡れたってそうそう目立たねーよ」
それは事実だが、無神経すぎるぞ秋哉。
でも秋哉の失言のお陰で、鈴音はちゃんとポンチョを購入して、春一を安心させてくれた。
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