プロローグ 

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しかしこのアイランドリゾート、遊園地の他に温泉施設、プール、ショッピングモールまで備えている。 広大な敷地を誇っており、こんな風にばらばらになってしまい、果たして無事に再会できるのかと首をかしげていると、 「平気だよ。どうせどっかのゲートの前であいつらとは会える。いつものことだから」 鈴音の後ろからのんびりと姿を現した、次男の夏樹が教えた。 「ああやって俺たちへの注目を分散してくれてんの。俺たちがこういう場所でまとまって動くと、下手すりゃパニック状態になるからな。まあ適当にまいたら携帯に連絡くるだろ。そしたら合流すりゃあいい」 ……なるほど。 アイランドリゾート行きの直通バスは満員で、その中でも4兄弟は、芸能人並みの注目をあつめていた。 走っているバスの中ではひそひそと噂話をされるぐらいだったが、リゾート入口に到着するなり女の子たちは先に立ってバスを降り、降車口で写メをかまえて出待ちの体勢。 そこで秋哉と冬依が飛び出して、彼女たちの注目を一手に引き受けてくれたわけだ。 今日は、夏休みも終わった平日。 そういう人の少なそうな日を選んで来たのだが、大学生はまだ夏休み中だし、ショッピングモール目当てのお客さんも多い。 偶然なことに、今日は冬依の中学校の創立記念日、秋哉の高校は夏休み空けの体育祭の代休だった。 来生家の4兄弟、4人揃うと、外出にも気を使ってなかなか大変だ。
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