2 ウォーターショット

7/8
181人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
春一と秋哉のコンビと、鈴音が乗る。 これが一番マトモな組み合わせに思えるが、 「オレやだよー。ハルとスズネに気ぃ使われて、ぜってー疲れるだけだし」 秋哉の意外な抵抗に合う。 「じゃあ鈴ちゃんこっちおいで」 とにこやかに誘う、冬依と夏樹のふたり組に加わるのは、春一が却下。 「狼の間にアヒルだぞ。ふざけんな!」 「って私、アヒル?」 納得のいかない鈴音を無視して、組み合わせを替えることになった。 じゃあ春一と冬依のコンビに鈴音が混ざる。 なかなか悪くない案だと思うが、 「あー来生家の問題が表面化するな」 「うん、ウチはこれで終わりだ。最終戦争トツニュー」 夏樹と秋哉が真顔で反対する。 「……意味がわかんない」 鈴音の意見は誰も聞かない。 ついでに夏樹と秋哉のふたりのところに鈴音が混ざる案も、 「スズネと一緒はイヤだよオレ。後でハルに八つ当たりされてワリ食うの、オレじゃねーか」 つまり秋哉は、鈴音と一緒に観覧車に乗りたくないらしい。 はっきりとそう宣言されて、ちょっと落ち込む鈴音に残された選択肢は、春一と夏樹のふたりに混ざるの一択。 「……」 「……」 無言で顔を見合わせる、来生家の年長イケメンふたり組み。 大観覧車の下で、ずーっと組み合わせにモメている来生家の間を、どうやら観覧車を一周してきたらしいさっきの兄弟が、不審な目を向けながら通り過ぎていった。 青いTシャツを着た弟の方が、丸い目をして何か言いたげにこちらを見ている。 この賑やかで麗しい集団、あの子の目には一体どんな風に映っているのだろう。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!