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春一と秋哉のコンビと、鈴音が乗る。
これが一番マトモな組み合わせに思えるが、
「オレやだよー。ハルとスズネに気ぃ使われて、ぜってー疲れるだけだし」
秋哉の意外な抵抗に合う。
「じゃあ鈴ちゃんこっちおいで」
とにこやかに誘う、冬依と夏樹のふたり組に加わるのは、春一が却下。
「狼の間にアヒルだぞ。ふざけんな!」
「って私、アヒル?」
納得のいかない鈴音を無視して、組み合わせを替えることになった。
じゃあ春一と冬依のコンビに鈴音が混ざる。
なかなか悪くない案だと思うが、
「あー来生家の問題が表面化するな」
「うん、ウチはこれで終わりだ。最終戦争トツニュー」
夏樹と秋哉が真顔で反対する。
「……意味がわかんない」
鈴音の意見は誰も聞かない。
ついでに夏樹と秋哉のふたりのところに鈴音が混ざる案も、
「スズネと一緒はイヤだよオレ。後でハルに八つ当たりされてワリ食うの、オレじゃねーか」
つまり秋哉は、鈴音と一緒に観覧車に乗りたくないらしい。
はっきりとそう宣言されて、ちょっと落ち込む鈴音に残された選択肢は、春一と夏樹のふたりに混ざるの一択。
「……」
「……」
無言で顔を見合わせる、来生家の年長イケメンふたり組み。
大観覧車の下で、ずーっと組み合わせにモメている来生家の間を、どうやら観覧車を一周してきたらしいさっきの兄弟が、不審な目を向けながら通り過ぎていった。
青いTシャツを着た弟の方が、丸い目をして何か言いたげにこちらを見ている。
この賑やかで麗しい集団、あの子の目には一体どんな風に映っているのだろう。
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