4 バーガーショップとカフェテリア

2/10
180人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
「あーったま痛てー」 かきこむようにかき氷をたいらげた秋哉が、むしろ楽しそうに叫ぶ。 鈴音のカップにはまだ半分以上、氷が残っている。 シャクシャクシャクとスプーンで崩したら、あっという間に、赤い水が増えた。 すると、 「鈴ちゃん鈴ちゃん、見てよ」 冬依が無邪気に話しかけてきて、ペロリと舌を出して見せる。 「すごい真っ青よ」 「鈴ちゃんのも見せて」 言われて、何の気なしに鈴音も顎を突きだし舌を出して見せると、 「ん」 多分、シロップで真っ赤に染まっているだろう。 ところが、急に冬依が頬を赤らめた。 「?」 鈴音が舌をしまい忘れた猫みたいに首を傾げれば、 「そんな顔して。キスされても文句は言えねーぞ」 夏樹がゴインと、鈴音の頭のてっぺんにゲンコツを落とす。 「痛ったー、何バカなこと言ってんの夏樹」 お陰でガブッと舌を噛んでしまう。 痛む舌を堪えて怒鳴ろうとすると、いつもこういう時には庇ってくれる春一が何も言わない。 冬依はふいと目を逸らすし、秋哉はわれ関せずだし、どうやら鈴音の味方はどこにもいないようだ。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!