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さて、座ってかき氷を食べたら、逆にお腹が刺激されたようだ。
「腹へったぞ!」
「うん、そうだね」
秋哉が言って、妙な空気になってしまった場を変えるためか、冬依も素直に同意する。
「じゃあ、少し早いけど昼飯にするか」
春一が空になった紙カップをひとつにまとめ、
「この近くだったら、バーガーショップとカフェテリアがあるみたいだぜ」
夏樹が園内地図を広げて教える。
「オレどっちでもいー。食えるなら」
「僕は座れる方」
「じゃあとりあえず行ってみるか」
春一がさっさと決断をくだし、そこでようやくハッと思い出した。
「鈴音は、どっちがいい?」
「……どっちでもいいです」
本気でどちらでもいいのだが、どうして拗ねたような声に聞こえてしまうのだろう。
兄弟のすばやいテンポに、鈴音だけがいまいちついていけない。
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