4 バーガーショップとカフェテリア

4/10
前へ
/168ページ
次へ
バーガーショップとカフェテリアは隣同士に並んでいて、真ん中のオープンテラスは、どちらの店でも利用できるみたいだった。 天気もいいし、そのオープンテラスにテーブルをふたつくっつけて場所を作ると、 「鈴音は何を食べる?」 今度は一番最初に春一は聞いてくれる。 そこで鈴音は、とりあえず目に飛び込んできた、 「カルボナーラ」 と答える。 『一番人気』の矢印も貼ってあるし、まず失敗はないだろう。 でもせっかく素早く答えたのに、春一はまだジッと鈴音のことを待っている。 「……?」 きょとんと鈴音が首をかしげると、 「わかった。後は任せてくれるかな?」 「任せる?」 「うん、荷物番。鈴音はここで場所とって待ってて」 まだお昼前だから席は空いているが、これから混んでくる時間帯になる。 全員で注文に立っている間に、座る場所を無くしても困るだろう。 鈴音がうなずくと、春一と夏樹はカフェテリア、秋哉と冬依はバーガーショップの方に歩いていった。 ピンポン、パンポーン 響く放送チャイムに、鈴音はふと空を見上げる。 テーブルにかかっている赤と青と白のパラソルが、晴れわたった空に映えてとても綺麗だ。 「ご来場の皆さまに迷子のお願いを申し上げます」 アイランドパークに来てからずっと、この放送が繰り返されている。 「三井アヤミちゃんという、小学2年生の女の子を探しています。お心当たりのある方はお近くの係員まで……」 小学校2年生くらいの小さい女の子では、お母さんもさぞかし心配だろう。 もしかするとオシャレに興味を持つ年頃だし、遊園地を出たショッピングモールの方に行ってしまったのかもしれない。 この放送はショッピングモールの方まで聞こえているのかしら、ぼんやりと鈴音が考えていると、そこに食料を仕入れた4兄弟が戻ってきた。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

179人が本棚に入れています
本棚に追加