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バーガーショップとカフェテリアは隣同士に並んでいて、真ん中のオープンテラスは、どちらの店でも利用できるみたいだった。
天気もいいし、そのオープンテラスにテーブルをふたつくっつけて場所を作ると、
「鈴音は何を食べる?」
今度は一番最初に春一は聞いてくれる。
そこで鈴音は、とりあえず目に飛び込んできた、
「カルボナーラ」
と答える。
『一番人気』の矢印も貼ってあるし、まず失敗はないだろう。
でもせっかく素早く答えたのに、春一はまだジッと鈴音のことを待っている。
「……?」
きょとんと鈴音が首をかしげると、
「わかった。後は任せてくれるかな?」
「任せる?」
「うん、荷物番。鈴音はここで場所とって待ってて」
まだお昼前だから席は空いているが、これから混んでくる時間帯になる。
全員で注文に立っている間に、座る場所を無くしても困るだろう。
鈴音がうなずくと、春一と夏樹はカフェテリア、秋哉と冬依はバーガーショップの方に歩いていった。
ピンポン、パンポーン
響く放送チャイムに、鈴音はふと空を見上げる。
テーブルにかかっている赤と青と白のパラソルが、晴れわたった空に映えてとても綺麗だ。
「ご来場の皆さまに迷子のお願いを申し上げます」
アイランドパークに来てからずっと、この放送が繰り返されている。
「三井アヤミちゃんという、小学2年生の女の子を探しています。お心当たりのある方はお近くの係員まで……」
小学校2年生くらいの小さい女の子では、お母さんもさぞかし心配だろう。
もしかするとオシャレに興味を持つ年頃だし、遊園地を出たショッピングモールの方に行ってしまったのかもしれない。
この放送はショッピングモールの方まで聞こえているのかしら、ぼんやりと鈴音が考えていると、そこに食料を仕入れた4兄弟が戻ってきた。
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