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けれどもそんな状況でも驚いているのは鈴音だけで、
「いっただきまーす!」
秋哉は元気にスプーンを握る。
目の前にカツカレーとビーフカレーのふた皿を置き、カレーの上にフライドチキンまで乗っけて、豪快に食べ始める。
フライドチキンが乗ったカツカレーやビーフカレー、果たしてカツやビーフと言ってもいいのだろうか。
冬依も、
「いただきます」
きちんと手を合わせて行儀よく言うが、ハンバーグカレーとミートスパゲッティの皿を守備範囲に置いている。
皿の上には山盛りのソーセージ。
「やっぱこーいうところのはレトルトだよな」
偉そうに文句を言う夏樹の前にはビーフシチュー、そしてナゲット。
見ているだけで、鈴音のお腹はいっぱいになりそうだ。
春一はと見れば、ピラフの一皿だけにスプーンを使っている。
やっと『普通の量』で鈴音はちょっとホッとした。
思わず、
「みんなすごい食欲ですね」
小声で問えば、
「こういうところに来ると、子どもは食いたがるもんだろう」
まるでお父さんみたいな答えが返ってくる。
「あはぁー」
ため息とも愛想笑いともつかない声を出す鈴音に、春一は、
「まだハンバーガーもある。ゆっくり食えばいいさ」
……そうだった。
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