4 バーガーショップとカフェテリア

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「何が思い過ごしだって、鈴音?」 いつの間にやら夏樹もこちらを向いていた。 真剣な顔をして、トレードマークの口元の笑みも消してしまっている。 「え、夏樹まで聞くの? 大丈夫だよ、きっと私の考えすぎだから」 体の前で両手を振ったが、 「鈴音」 春一に静かな声でいさめられる。 「俺たちは家族だろう。間違ったっていい。気になることはちゃんと話せ」 こういう時の春一は、きっちりと厳しい家長の顔になる。 鈴音は、 「……はい」 小さくうなずいて、さっきから気にかかっている兄妹のことを話した。 青いTシャツ、茶色い短パン姿の小学校低学年ぐらいの女の子。 鈴音は、その色合いの洋服から、ずっと男の子だと思い込んでいた。 「だけど帽子が外れて、その下から長い髪が見えたんです。実は女の子ってわかって驚いて。 でも、ただボーイッシュな格好が好きな子かなっとも思えるし。でもその子、帽子をかぶるのを嫌がってるように見えて」 さっき園内放送されていた、迷子の女の子の服装と合致する。 ただ帽子だけが違うが、このアイランドパークのキャラクターのキャップだ。 どこの売店でも買える。 そして、帽子が風にあおられた後、かぶせ直されるのを、女の子は首を振って嫌がっていた。 長い髪を帽子の中にしまわれるのを嫌ったのだと思うが、よく考えれば、そんなことをする必要はどこにもない。 女の子の特徴を隠すため、ツインテールの髪を解き、そして帽子をかぶせて長い髪を隠したと考えれば、すべて合点はいく。
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