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「俺もそのふたりを見たぜ」
夏樹が言った。
「髪型までは見てねーけど、服装は確かに青いシャツに茶色の半パン。キャラクターのキャップをかぶっていた」
そういえばお化け屋敷を出たところで春一たちを待っていて、夏樹とふたりで兄妹を目撃したのだ。
夏樹は鈴音に「何を見ているのか」と聞いてきた。
春一は、ちょっと目を細めると、
「連れの特徴は?」
夏樹に尋ねる。
「えーっと、メガネをかけてて背の高い――」
うろ覚えの鈴音の返答に、
「白にブルーのラインのポロシャツ。ジーンズ、スニーカー。年は俺らと同じくらいか。髪は短く目の細い男だ」
夏樹が詳しく補足する。
「よく見てるね、夏樹」
鈴音が感心して言うと、
「まあな、顔覚えるのは接客業の基本だし」
なるほどと思える理由を告げる。
夏樹は、普段真面目に自分の仕事を話すことはないが、何も心配はなさそうだ。
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