5 総合案内所

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「んな嬉しそうな顔したって、別にお前を褒めてるわけじゃねーぞ」 どうしても頬が緩んでくる鈴音に、夏樹は手に持ったハンバーガーをもてあそびながら、嫌そうな顔をしてくぎを刺す。 「わかってるわよ、そんなこと」 鈴音も、尊敬する春一と、同じ地位に立たされても困る。 それより、 「夏樹ってば、もしかして春さんと合わないんじゃないかと思ってたからさ」 鈴音は言った。 それに春一が、 「夏樹は俺のことが嫌いなんだろうか」 と真剣に悩んでいるのを知っているからだ。 そしてそんな夏樹に失望されないように、来生家の家長たらんと不断の努力を怠らないことも。 そんな春一に、今日の夏樹のセリフを教えれば、きっと喜ぶだろう。 でも夏樹は、 「んなしょーもねーこと考えてねーで、お前も探せよ」 鈴音の頭の上にハンバーガーを乗っける。 「女の子でも連れの方の男でも。そのふたりの顔知ってるの、俺たちだけなんだからな」 鈴音はハンバーガーを落とさないよう、両手で支えながら、 「うん」 慌てて気を取り直した。
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