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春一は息せき切って総合案内所まで駆けつけたが、女の子の保護者らしい人物は案内所にはいなかった。
聞けば、三井アヤミちゃんにはまだ小さな弟妹たちがいて、お母さんがトイレに連れていったのだと言う。
しかも、
「ショッピングモールの方でも迷子放送をかけていて、そちらの様子も見に行かれましたから」
アイランドパークへ戻ってくる時間はわからないと、インフォメーションの女性は済まなそうに眉を寄せた。
「もしや三井アヤミちゃんをご存じですか?」
反対にそう聞かれ、春一は言葉に詰まる。
実際は似たような服装の女の子を目撃しただけである。
鈴音や夏樹の記憶に疑いは持たないが、心当たりの女の子は若い男と一緒だった。
三井アヤミちゃんには、本当に他に連れがいないのか、またこのアイランドパーク内で知り合いに会う確率はまったく無いのか、保護者に会ったら聞くつもりだった。
「お母さんと連絡はつきませんか?」
思い切って尋ねてみたが、今度はめいっぱい不審な顔をされてしまう。
「アヤミちゃんが見つかれば、携帯に連絡を差し上げることになっていますけれど」
見ず知らずの春一に、その番号を教えてくれるはずもない。
――どうする。
ショッピングモールまで探しに行ってみるか、とも思うが、こちらはお母さんの顔を知らない。
入れ違いになるのがオチだろう。
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