3 お化け屋敷

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3 お化け屋敷

さて、お化け屋敷に来ても、やはり入る順番にモメる。 特に入場の人数制限はないが、通路が狭い。 ふたり並んで歩くのが精いっぱいの幅だ。 そしてここでも、冬依が声をあげる。 「春兄が鈴ちゃんにしがみつかれて歩くなんて、絶対反対!」 何故か春一の個人名を名ざしだし。 「こんな人がいっぱいいる場所で、しがみつくなんて、そんな……」 鈴音だって反論するが、 「あいつをひとりで歩かすと、ぜってーすっ転ぶだろ」 「だから僕が手をつないで歩けば」 「冬依、お前じゃ共倒れがオチだ」 そして鈴音の存在はきっぱりと無視される。 そんなくだらないやり取りに最初から混ざる気はない秋哉から、 「もーいい加減、慣れろよなーお前も」 ポンポンと頭を叩かれて諭された。 だから、何に慣れろというのか!
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