1 レッドドラゴン

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1 レッドドラゴン

女性たちをまいた秋哉や冬依とは、アイランドパークの西ゲートで合流することが出来た。 彼女たちの目的はショッピングモールの方にあるのか、遊園地の方はカップル客と、そして、 「お客さまにお呼び出しを申し上げます。三井アヤミちゃん、三井アヤミちゃん、お母さんがお待ちです。すぐにメインゲート側の総合案内所までお戻りください」 遅めの夏休みを過ごす家族連ればかりだ。 さすがにイケメン4兄弟が揃っていても、ナンパされる雰囲気はない。 女の子からの注目のない自由な空に背伸びして、秋哉は声高らかに宣言する。 「今日はジェットコースター、全制覇するぜっ!」 元気だなあと秋哉の他の全員が思った。 末弟の冬依にまで温かい目で見られているのが、秋哉の愛すべきキャラクターだ。 まあいいが、そんな秋哉が最初に選んだのがコレ。 「さあ行くぜ、『レッドドラゴン』」 この遊園地No,1、この春リニューアルされたばかりの絶叫マシンだ。 その乗り口には、すでに5Mほどの人の列が並んでいる。 今日はジェットコースターを目的にやってきたとはいえ、しょっぱなからのメインディッシュ。 さすがに、女性にはキツいんじゃないかと、春一が脇にいる鈴音を見下ろせば、 「キャー春さん、あれ見てください。体むき出しですよ。座席にカバーも何もないし足はブラブラだ。キャー!」  ……大はしゃぎしている。 絶叫マシンはまったく平気そうで、春一は少し意外に、そして少し残念に思った。 メリーゴーランドしか乗れませんと言われても困るが、ジェットコースターを前にしてテンションMAXの様子を見せられても、ちょっと寂しいと思ってしまう。 もしかすると、鈴音の怯えた顔だとか、 「春さん怖いです」 とちょっとためらう姿だとか、期待していた春一は、実は一番夢見る少年かもしれない。
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