あとがき

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そんな美緒に最初に気が付いたのは篠田ですね。 手術直後に美緒が「美結」だと思い込んでいることに気が付いた時のショックはどれだけのものだったでしょう。 もちろん、両親と好江も同じくショックを受けながらも、美緒を見守っているわけです。 父が結婚を進める時に、母が父に「まだ早い」というのは、美緒が美結と思い込んでいるままだったからの台詞です。 美結が美緒の意識に取り込まれた部分は、最初、美結がその意識の主体となって悟と過ごすことを考えたのですが、それだと、結局、再会後は「美結との時間」になってしまうのでボツです。 結局、美結の出番がなくなり申し訳ない気分です。 ちなみに、私はいつも実在の人物を頭に浮かべながら書くのですが、この双子の姉妹のモデルは「E.T」さんです。 そして、悟は「S.M」さん。 つくしは、「T.H」さん。 篠田さんは、「H.H」さんです。 読む方のイメージがあるので、あまり深く考えないでくださいね。 あと、美緒が悟をお墓に案内するシーンがありますが、墓碑に名前がないというところも伏線の一つでした。 お墓は用意されていたけど、実際には誰も入っていないということです。 生前に自分の墓を建てることは寿陵と言われ、縁起のよいことだそうです。 寿陵は、不老長寿を深く信仰した秦の始皇帝の墓がその起源だと言われ、聖徳太子もそうしたとか。 そういうことで、美緒の父は生前にお墓を用意していたわけです。 美緒はそのことを知っていましたので、家族が亡くなったらそこに入ると思い込んでいたんですね。
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