第3章

4/10
462人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
「今日もいつもくらいに帰る?」 私が夕暮れが濃い青に変わり始めた外の景色を見つめていると、悟が言った。 「……うん。ごめん」 「いいよ」 彼は笑顔で言ってくれた。 私は最初の日以後は、父の目が厳しいとごまかして、晩ご飯の前に帰る様にしていた。 好江さんも怪訝に思うだろうし、気持ちが深くなるのを抑えていた。 そして、その帰る時間。 いつものように店の方から出ようとすると、ドアが開いて誰かが入ってこようとした。 私は少しよけて、「どうぞ」と促したが、その人は私を見つめて固まっていた。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!