第3章

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少し、勉さんを交えて話していたけど、悟が時計を見た。 「美緒、時間は?」 「あ、うん。帰らなくちゃ」 私はそれに乗った。 「おお、そうか。そうだな、帰るところを引き留めてしまったな。すまん」 勉さんがそう言って頭をかきかけたけど、自分で気が付いてやめた。 「ううん、気にしないで。会えて良かったです」 私は笑顔で言った。 「そうか……」 勉さんも微笑んだ。 「じゃあ、……また、これからもよろしくな」 彼は少し間を置いて「また」を言った。 「……はい。こちらこそ」 私は戸惑いを隠すように微笑んだ。 勉さんは、悟のことを心から心配してるのだろう。 私は店の前で二人に見送られて坂を下り始めた。 あの事故のことを話した人が、また一人増えた。 あと、どれだけ増えるのだろう…… 私はなるべく増やしたくはなかった。
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