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腕の中にいる鈴音は凶悪なくらい魅力的だ。
普段の天然ぶりとのギャップが大きすぎる。
それがなお春一を刺激して、あっという間に精神ごと奪い去り、春一を凶暴な獣に変えさせようとする。
鈴音を満足させられるなら、いくらでも変わってやるけれど、最初からそれでは鈴音を壊しかねない。
十分に解したはずなのに、鈴音は痛いくらいに春一を締めあげてくる。
もっと慣れてからでなければ、鈴音が傷ついてしまう。
鈴音に幸せな気分を味あわせてやりたいと始めた行為だから、独りよがりであってはいけない。
鈴音は春一で、春一は鈴音だ。
鈴音が幸福なら春一もきっと幸福だ。
繋がることをよく『ひとつになる』と言うけれど、その本当の意味が今日わかった気がした。
鈴音の感覚は春一のもので、春一の感覚は鈴音のものだ。
ふたりで何も考えられなくなって、ただ快感の波だけを追いかける。
そのためには、最初はどちらかのリードが必要だろう。
今鈴音は春一の手を取って、春一と混じり合いひとつになろうとしている。
そう望んでくれている。
こんな充足感を得られる時間が他にあるだろうか。
お互いを与えあって奪い合えるようになるのは、まだ先の話だ。
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