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こんなに余裕がない態度は恥ずかしい。
『どうした? 誰にも言えないけれど経験値だけは誇れるはずだろ』
春一は脳内で自分の頬をぶん殴る。
鈴音を、壊さないように乱暴にしないように、ただそれだけを肝に銘じて鈴音に触れていないと、一気に、己の想いの丈を鈴音にぶつけてしまいそうになる。
春一はいつも、鈴音の頭のてっぺんから足のつま先まで、自分のものにしたい欲求と戦っている。
春一の仄暗い独占欲は、絶対に鈴音には見せられないほど凶暴だ。
バレたら、確実に鈴音に嫌われるだろう。
好きだから。
愛してるから。
そんな言葉では測れないくらい、春一は鈴音のことを想っている。
それこそ、本当に喰ってしまいかねないくらいに。
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