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――鈴音は深い眠りに落ちてしまった。
途中でも細かく意識は飛ばしていたようだが、それでもこれほどに深く眠ってしまったら、もう責めるのは可哀想だろう。
手早く始末を終えると、春一は鈴音の隣に潜り込む。
起こさないように注意しながら、頭の下に腕を回し、そっと抱きしめた。
鈴音は安心しきったように、春一に身を任せ穏やかな寝息をたてている。
「……鈴音」
春一は鈴音の呼吸を邪魔しないように前髪にキスをする。
どこもかしこも愛おしい。
「鈴音」
どれだけキスをしても、どれだけ愛しても、全然足りない。
春一の体は燃え上がるばかりだ。
『なんでここまで、俺は惹かれるかな』
自分でもわからない。
だから鈴音を一番傷つける危険があるのは自分なのだと自覚する。
『大切にする』
春一は鈴音の髪に、何度も触れるだけのキスをする。
無防備に春一の腕の中で眠る鈴音に固く誓う。
「俺が絶対に守るから」
どんな相手からも。
それは春一自身からも。
春一の言葉に、永遠に嘘はない。
了
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