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鈴音を潰さないように気を付けながら、少しだけ自分の体重を鈴音に預ける。
横を向いてしまった鈴音の顎を持って正面に向き直させ、チュッと鼻の頭にキスしてやった。
予想外の場所にキスを貰って、鈴音は、
「……ぅ?」
妙な声をだす。
「ははっ」
ついに春一は声をだして笑う。
なんだろう、他愛のないやり取りだけで、こんなにも幸せな気分になる。
今まで何人もの女を抱いてきたが、こんな気持ちになるのは初めてだ。
「すーずね」
軽い調子で呼びながら、額にキスをした。
頬にキスをした。
もう片方の頬にも、瞼にも、髪にも。
唇以外の顔の全部に細かいキスをしてやれば、鈴音はくすぐったそうに首をすくめる。
そして笑った。
やっと笑顔が見れたので、春一は言う。
「好きだよ鈴音」
鈴音の固く握っていた拳が解かれて、腕が伸びてきた。
そっと春一の頬に触れる。
「私もです、春さん」
鈴音ときちんと目を合わせながら髪をひと撫でして、静かに顔を近づけていけば、鈴音もゆったりと目を閉じた。
少しだけ開いた鈴音の唇に、やんわりと口づける。
暖かい。
やっと鈴音とちゃんとしたキスが出来た。
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