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永遠に嘘はない
「私のこと好きって言ってくれるなら、いいんです」
春一の肩に頭を預けた鈴音は、今にも消え入りそうな声で言った。
「シて、ください」
「&#×△;$※♂!」
春一は思わず声を失ってしまったけれど、こちらを見つめる鈴音の顔がユデダコのように真っ赤で、決死の想いで言ってくれたことがわかる。
目には涙がいっぱい溜まっていて、体もかすかに震えている。
いじらしい。
『女性になんでここまでさせてんだ、俺は?』
自分の不甲斐なさに少し落ち込み、でも、鈴音のことは絶対に幸せにする、と心に誓う。
こんな鈴音を見せられて、幸せにしてやらなければ嘘だ。
だが、そういう感情を春一は上手く言葉には出来なくて――。
結局、春一は鈴音を押し倒した。
情けない。
こんな時、気の利いたセリフひとつ、鈴音に言ってやれない。
なのに鈴音は春一の腕の中でニコリと笑う。
「ちゃんと私のこと、好きって言ってくださいね」
ああ、100万回でも言ってやるとも。
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