第1章

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 黒く長細いそれは、壁をつたい浴槽に浸かる私にどんどん近付いてきます。  私はたまらず助けを求めました。 「お母さん!」  風呂場から、台所にいるであろう母親を呼ぶと、「はいはい、なあに?」とのんびりした様子でやってきました。 「これ、取って?」  私がその物体を指差すと、母親は「ああ~」と言っていったん風呂場から出ていきました。  私はその間も、それを凝視しながら身を縮めていました。早く母親が戻ってくるのを祈りながら……。
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