クミちゃんとかみしゃま

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 そうか。ならば、この世界ではないどこかへ。この者に優しくなかったこの世界ではないどこかへ。  この者に、健康を  この者に、強さを  この者に、 「あ、ママとパパ! いっしょにねるの! ねたいの! いたくないママがいい! バチンってしないの!」 「……私には、人のことはわからない……すまないが、わたしで足らぬところは、クミちゃん、じぶんで、がんばれ……」  この、者に、良き、(えにし)を…… 「ん? がんばる? あれ? かみしゃま? どうしてシクシクなの?」  解らない。自分がどんな姿かたちをしているのかすら解らない。ただ、この子には私が泣いているように見えるらしい。ならば、泣いているのだろう、私は。 「気に、するな……私が、神様が、クミちゃんをちゃんと……見守っている……頑張って、きなさい」   「んー? うん、がんばる!」  例え私の存在、よく解らぬが、それを賭しても全く構わない。 「かみしゃま? かみしゃまなきむしね? しくしくだとたのしくないよ? かみしゃまもがんばろー? ね?」  クミちゃんが、異世界で生き残れるよう最高の肉体を用意する。頑張ろう。
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