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「洗濯をしていたときに聞いたのよ。家長様は厳しすぎるわよね」
モエは部屋付きである。
部屋付きは、女長の目が届きやすい娼家ではさほど談笑出来ぬため、洗濯をするときは口がよく動くらしい。
「家長様が厳しい? 厳しいのかなあ?」
シノは首を傾げた。
「何言ってるの。厳しいでしょ。シノは盛り付けをさせてもらえるようになったって、あんなに喜んでたじゃないの。それをさせてもらえなくなったのに悲しくないの?」
「うーん。悲しいと言えば悲しいけど、敷布洗いに降格になると思ってたから、良かったかなあって思って……」
シノが「へへ」と笑うと、モエは「ああ、そうか!」と納得の声をあげた。
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