第22話

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「何を手伝えばいいの?」 「明日までに書かなきゃいけないのよ」 モエ曰く、女長の蓮吾に文の代筆を頼まれたのだと言う。 「でも、私はあまり字を知らないし、文なんて書いたことないよ」 シノはモエがしたためた文の幾つかに目を通した。 読める字が少ないため内容は判じかねるが、どれを見ても同じ文句であることくらいは判る。 「同じのばかり……。こんなに沢山、女長は誰に渡すのかなあ?」 シノが呟くと、硯で墨を擦っていたモエが手を止めた。 「それ、女長の代筆じゃなくて上級女の代筆よ」 「え、上級女? じゃあ何故、女長が?」 「上級女はお客さまが沢山いるでしょ。一人で全ての文を書くのは難儀だから女長に頼んだのよ。これしきのこと、見世娘も娼妓もみんなしてるわよ」 「へえ、そうだったんだ。でも、お客さまに送る文が全て同じ内容なのって、お客さまは怒らないのかなあ」 「知らぬが仏、知るが煩悩」
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