第1章

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休暇を満喫すると言う名目で俺は一人でいる時間を多く持った。 若い時にはもう少し他人に興味を持てとか一人の殻に閉じ籠るなとか良く言われていたことを懐かしか思える。 その人も10年前に戦死している。 監視している者の気配が少しずつ近づいて来ているのを察知し、俺は無警戒により人気のないところへ移動する。 道に迷ったふりをしてさらに裏路地に入ったところでそれまで気配を消していた監視者は明確な殺気を放ってきた。 いつの間にこれほど接近されたのだろう。 監視者が俺の死角から鋭い一撃を繰り出してくる、反射的に身をよじり、カウンターを放つが、空を切る。 小柄なその体躯は少年のようだ。 「あの人の仇、今こそ!」 中国語でそう確かに言った…三年前のあの戦いの犠牲者の身内であることは確かなようだ。 監視者改め、暗殺者は顔を隠している布を剥ぎ取り、憎悪の目で俺を睨んだ。
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